ゆるやかなし

少し前に東山動物園に写真を撮りに行ってきた。

空は雲に覆われて、どこかどんよりとした空気の昼下がり。そんなふうに思えたが、写真を撮るには絶好の日和である。

まず園に入って気付くのは、あの匂いだ。小学生の頃に嗅いだ独特の獣臭さは、よもや忘れることはあるまい。

子供の頃はどんな風に動物を見ていたんだろうか。大人になった僕はおそらく子供の時とは異なる感覚が伝わってくる。

だるそうなのだ。

園内の動物たちは皆、どこか眠そうで、いかにもゴロゴロしてる主婦か、通勤電車にもまれる最中のサラリーマンか、ヒキニートかそんな面持ちである(サラリーマン以外は実際に見たことはないのだが)。

毎日ゴロゴロしていたい気持ちもないではないけれど、そんな生活を送っても、きっとゆるやかに死んでゆくだけなのだろうなと思った。